予防歯科
予防歯科について
予防歯科とは、虫歯や歯周病が発症する前に積極的な対策を行い、健康な歯を守ることを目的とした診療です。
従来の「悪くなったら治療する」という考え方では、削ったり抜いたりといった処置を繰り返すうちに歯の寿命が短くなってしまいます。
そのため近年では、「治療よりも予防を重視する」ことが世界的なスタンダードとなっています。
8020運動の推進と
定期ケアの大切さ
当院でも、虫歯予防・歯周病予防に力を入れており、8020運動（80歳で20本の歯を残すことを目指す活動）を推進しています。
スウェーデンをはじめとする欧米諸国では、定期的に歯科医院へ通い、歯のクリーニングや健康チェックを受ける習慣が浸透しており、80歳でも20本以上の歯が残っている方が多いと報告されています。
一方、日本の定期メインテナンス率はまだ低く、予防歯科の習慣が十分に広まっていないのが現状です。
だからこそ、定期的に歯科医院でのケアを受けることと、日々のセルフケアを組み合わせることが、一生自分の歯で過ごすための第一歩といえます。
予防歯科の
メリットについて
予防歯科には「治療してから」では得られない多くのメリットがあります。
虫歯や歯周病を早期に防ぐことで、歯を守るだけでなく全身の健康にもよい影響を与えます。
主なメリットは以下の通りです。
予防は、いちばん身近な
“健康投資”です
◆治療費の削減
重症化を防ぐことで高額な治療費や長期通院を避けられます。
◆痛みを伴う治療を避けられる
定期的な検診やクリーニングにより、症状が進む前に対応できるため、痛みの少ない快適な生活を送れます。
◆歯を長持ちさせられる
予防を徹底することで将来的な歯の喪失リスクを減らし、生涯にわたり自分の歯で食事を楽しむことが可能です。
◆全身の健康維持につながる
歯周病は糖尿病や心疾患などとも深い関係があるため、予防歯科を続けることは身体全体の健康管理にも役立ちます。
当院の予防歯科について
予防歯科では、虫歯や歯周病を防ぐために、歯科医院でしかできない「予防処置」と、ご自宅でのセルフケアを組み合わせて取り組みます。
ここでは、当院で行っている代表的な予防処置をご紹介します。
プロのケア × 毎日のケアで、
虫歯ゼロへ
◆定期検診
虫歯や歯周病は初期段階では自覚症状がほとんどなく、気づいたときには進行していることも少なくありません。
そこで大切になるのが、定期的な歯科検診です。
定期検診では、歯や歯ぐきの状態をチェックし、問題があれば早期発見・早期対応することが可能です。
初期の段階で異常を発見することで、痛みを最小限に抑え、歯の寿命を延ばすことが可能になります。
◆プロによるクリーニング（PMTC）
PMTC（Professional Mechanical Tooth Cleaning）とは、歯科医師や歯科衛生士による専用器具を用いた徹底的な歯の清掃です。
普段の歯磨きでは落とせない「バイオフィルム（細菌の膜）」や歯石をやさしく除去し、口内環境を整えます。
特に、
・歯と歯の間
・歯と歯ぐきの境目
など、自分では清掃しにくい部分まできれいにできます。
施術後は歯の表面がつるつるになり、爽快感を実感される方も多くいらっしゃいます。
当院では、一人ひとりに合わせた予防プログラムで、安心のPMTCを提供しています。
◆フッ素塗布
フッ素塗布は、虫歯予防に非常に有効な処置です。
フッ素は歯の表面に取り込まれることでエナメル質を強化し、虫歯菌の出す酸に溶けにくい丈夫な歯をつくります。
また、一度溶けかけた部分を修復する「再石灰化」を促進する作用もあるため、初期虫歯の進行を防ぐ効果も期待できます。
乳歯や生えたての永久歯は特に虫歯になりやすいため、お子さまには定期的なフッ素塗布が推奨されます。
当院では歯科医師・歯科衛生士が安全に配慮して行いますので、小さなお子さまでも安心して受けていただけます。
◆シーラント
シーラントは、お子さまの奥歯の溝を歯科用の樹脂でコーティングし、食べかすや細菌がたまりにくくする処置です。
特に生えたばかりの永久歯は溝が深く、歯ブラシが届きにくいため虫歯リスクが高い部位です。
シーラントを行うことで、虫歯を予防しながら歯を長く守ることができます。
自宅でできる予防ケア
予防歯科の基本は、歯科医院での定期的なメンテナンスに加えて、日常生活でのセルフケアを継続することです。
自宅での正しいケアを習慣化することで、虫歯や歯周病のリスクを大幅に減らせます。
ここでは、ご家庭で今日から取り入れられる予防方法をご紹介します。
正しい磨き方と食習慣で、
未来の歯を守りましょう。
正しい歯磨き方法
歯ブラシは毛先を歯と歯ぐきの境目にあて、力を入れすぎず小刻みに動かすことが大切です。
強く磨きすぎると歯ぐきを傷める原因になるため、やさしく丁寧に磨きましょう。
電動歯ブラシを活用するのも効果的です。
フロス・歯間ブラシの活用
歯と歯の間は歯ブラシだけでは汚れが取り切れません。
デンタルフロスや歯間ブラシを使うことで、歯周病や虫歯の原因となるプラークをしっかり除去できます。
特に歯並びが重なっている部分やブリッジの周囲は念入りなケアが必要です。
食生活の見直し
糖分を多く含むお菓子や清涼飲料水は、虫歯菌が酸を作り出す原因になります。
間食の回数を減らし、バランスのとれた食事を心がけることが予防につながります。
食後はできるだけ早く歯を磨く習慣をつけることも重要です。
日々のセルフケアと歯科医院での予防歯科を組み合わせることで、一生自分の歯を守ることが可能になります。
定期検診の推奨頻度
予防歯科を効果的に行うためには、3か月〜6か月に一度の定期検診を受けることが目安とされています。
これは、歯石やプラークが再びたまりやすい周期に合わせたものです。
虫歯や歯周病は自覚症状が出にくいため、早期発見・早期対応には定期的なチェックが欠かせません。
ただし、検診の最適な頻度は年齢や口腔環境によって異なります。
例えば、歯周病リスクが高い方、矯正治療中の方、インプラントや入れ歯を使用している方は、3か月ごとの来院が望ましいケースもあります。
一方で、口腔環境が安定している方は6か月に一度でも十分に管理できることがあります。
当院では、一人ひとりのお口の状態に合わせて適切な通院間隔をご提案しております。
定期検診で専門的なクリーニングやチェックを受けることで、将来的に大切な歯を守ることにつながります。
予防歯科治療の流れ
まずは現在のお口の悩みや生活習慣を伺いながら、虫歯や歯周病のリスクを確認します。必要に応じてレントゲン撮影も行います。
歯や歯ぐきの状態を詳しくチェックし、歯周ポケットの深さやプラークの付着具合などを調べます。
歯科衛生士が専用の器具で歯石やバイオフィルムを除去し、日常の歯磨きでは落としきれない汚れをきれいにします。
一人ひとりのお口の状態に合わせて、磨き残しやすい部分の磨き方、フロスや歯間ブラシの使い方などを丁寧にアドバイスします。
歯の再石灰化を助けるフッ素や、奥歯の溝を埋めるシーラントで、虫歯になりにくい環境を整えます。
3〜6か月ごとの通院で再チェックを行い、必要に応じて再クリーニングを実施します。
こうした継続的なケアが、歯を長く守る秘訣です。
よくあるご質問
- 予防歯科は保険適用されますか？予防歯科の内容によっては、保険が適用される場合と自費になる場合があります。
たとえば、虫歯や歯周病の治療に必要な検査や処置は保険適用ですが、フッ素塗布やPMTC（専門的な歯のクリーニング）、シーラントなどは自費扱いとなることが多いです。
医院ごとに対応が異なりますので、事前に確認されることをおすすめします。 - 子どもも予防歯科を受けられますか？もちろん受けられます。
お子さまの虫歯予防や歯並びのチェック、フッ素塗布、ブラッシング指導なども行っています。
早いうちから定期的な予防ケアを行うことで、健康な歯の成長をサポートし、生涯にわたるお口の健康につながります。 - 治療の際に痛みはありますか？予防歯科は基本的に痛みの少ない処置が中心です。
定期的なクリーニングやブラッシング指導、フッ素塗布などはほとんど痛みを伴いません。
万が一、歯石除去などでわずかな刺激を感じる場合でも、歯科医師や衛生士が丁寧に配慮して処置を行いますのでご安心ください。
